昭和31年 勤め人片倉政幸の日記

亡くなった父親が昭和31年に書いた日記を再録します。娘からの感想もふくめて、ある時代のある家族の記録として残します

2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

6月27日(水)

今日は居残がないかと思つてあきらめてゐたら 代務四人で居残りになる。井上氏と二人で 三号ポン前スキーム。 娘から 少しでもチャンスがあれば残業や代務に滑り込もうとしている。稼ぎたい気持ちはわかるが子供が生れる直前なのにこんなに無理して体は大丈…

6月26日(火)

三時半から小林さんのお話あり。例によつて例の如く 品質の向上と、破損の防止の件 これが出来ねば世界の市場でうんぬんといふ。 "ヘン ちゃんちゃらおかしいわい "吾々人間を、血も肉も ない機械の様なものと考へてゐるのか、今でさへ最大 限に働らいてゐる…

6月25日(月)

朝出はねむい。 そろ〱給料日もちかづいた。それがたのしみだ。

6月24日(日)

昨夜は少し砂利が多かつたが大体調子よし。 井上氏休カで星川氏代ム。 九号ポン前スキームで居残る。 四時までねむつた。 雨が晴れて すばらしいよい天気になつた へちまがぐん〱伸びて約四十糎位になつた。 社講 むつかしいのを無理に読んでゐるせいか 少し…

6月23日(土)

十一時前番が三号スタート橋爪氏と二人で スタート直し大体調子良く上つたが デビ押へ 棒を押ヘル横のシヤフトが折れてゐたのでそれを 取り替へる途中、デヒドーズが浮いしまい平側 にしわが生じしばらく大混乱して墜落す。 三号八時スタートで残業 くたびれ…

6月22日(金)

子供、俺の子供、政幸と名のつく人間の子供 それは 君代と言ふ人の子供でもある。子供が生れる。俺の 子供が。俺は、いや政幸は、父さんになる。いや、 すでに父さんであつた。桂子と言ふ、俺の産んだ 女の子があつた。しかし桂子は父である俺の 馬鹿であつ…

6月21日(木)

今日から七月度だ。高熱手当がつく "ほんの申訳のだ " 昨夜は休みでゆつくりねむつたので今日はねむれそう もない。午後からスバル座へ行く。帰つて少しねむろう としたがだめ。全々ぜむらず出勤する。そのせいで 明方のねむい事はワヤである。 後一ヶ月後に…

6月20日(水)

三号の五粍は、全く調子の良い事が少ない昨夜も 砂利は多い、割れゝば縦割れになる、 仕末におえない。あきれかえつてさじを投げた形 である。暑いし、眠いし、誠意を以つてやる気 になれない 誠意をもつてやつても、効果がない からだ。 定時間で帰り二時ご…

6月19日(火)

昨日ろくにねむつてゐないのに余りねむくない。 九号ポン前スキームをやつて帰る。 今日も暑いかと思つてねたが、 風が部屋の中まで入つて来てすゞしく 一日中、気持よくねむつてゐた。 昨日の分もねた様なものだ あゝ本当によくねむつた 娘から 十七日から…

6月18日(月)

昨夜の仕事で非常に疲れてゐるのに、暑く てねむれづほと〱閉口する。九時にねて 十一時に目がさめてそれつきり。 西日の暑さが部屋に充満してーーー。 暗くなつてから又一時間半位ねむる。 縁日の夜店で非常なにぎわい、駅に行く のに裏の方を通つて行く。 …

6月17日(日)

今日から夜勤 三号七時中止 三時スタート 長い勤務 なのに、吾々の苦労は少しも考へない自務所 の作業の計画にはあきれてしまふ 十二時間機械と同じになつて働きまわる ひどいつかれだ

6月16日(土)

ナスをもらつたから、郷里のおふくろに五百円でも 送ろうかと思つたが、義姉に変つた気持をいだかれ るとわるいし、金よりお菓子でも送つた方がよいと 考へなほす。それもいなかの「おぼんごろ」が良い と思ふ。先のみぢかいおふくろ。生きてゐる中にせめて …

6月15日(金)

ボーナスの明細書が出た。二、三三○○円。税七〇〇〇円。 手取一五七○○円 これが日の当る産業天下の旭硝子 の社員勤続七年九ヶ月のボーナスである。労組のよわさ、 会社のだししぶる程もさることながら、下ッパのなげかわし さをつく〲感じる主任級になれば十…

6月14日(木)

くもりだが北よりの風のためあつくない。朝の 掃除を終へて、今、机にねまつて本を読んで ゐるが マルクス主義等を研究してさも しつたかぶりをして それが自分を不利な立場に おとし入れない様に注意する事が大切である マルクス主義は、自分の信条的なもの…

6月13日(水)

今日は休み。スバル座へ行つて来る。 帰りにパチンコを五十円やつてとられる。 夕方から社講を読んだが少しくもつて 暑くるしいせいか頭に入らない。唯物史観 や、弁証法的唯物論等、、わかつたようでわからない。 何度よみかへしてもぼうッとしてゐる。基礎…

6月12日(火)

七時に三号中止。 井上さん一号を一時間見る。わるいと思つたが 俺は三号をいろ〱やる。田澤君や安斉君と ニ、三戦やる。調子良い。落ちついて考へられる限り 考へて最良の方法をとるべきで勝つためには決して あせつたりめんどうかつて考へる事をおろそかに…

6月11日(月)

今日から中出だ 君代と義母は病院へ行つた。 無事に生れてくれる様。今度は「ちゝ」が出る かも知れない。 新平家もニ十巻まで読み終わつた。つみのない平 家がかわいそうおだとばかり思ふ。清盛の獨裁 とは言つて見ても、それは当たらないと思ふ 深く、原因…

6月10日(日)

居残代務つゞきで人もおどろく程、働らいた。ここ ニ三日、今朝はねむかつた。これだけ働らいても 俺の疲れを回復させるために何の心もくばらな い、君代と義母。である。観念したといふのだ らうか。別に「いかり」を見せたりする今日の 俺でもない。以前ご…

6月9日(土)

「今日は代務」と覚悟してゐた。福田氏つり大会 に出場のため七号に残る。いや砂利の多い事 といつたら全く参つてしまふ。 これで明朝又早く起きて出勤と思ふといさゝか つらい思ひだ。「良く頑張るなあ」と人に感心され るのが何だか変な気持になる。(親を…

6月8日(金)

広川氏組合会議の為中央に代務。 八時半まで残つたが六号中止中のため見廻りは 一時間ですむ 注: 前日4.5時間残業でこの日は代務=16時間勤務。

6月7日(木)

今日は居残があるかどうかと考へてゐたのだが 各マシンポン前巻取りで七時まで思ひがけ なく働いた。 注: この日から朝出。定時14時30分上がりのところ「七時まで」4.5」時間の残業。

6月6日(水)

今日は休み。三十度だ。暑くてどうしようもない位だ。 君代は目のまわりやら鼻のまわりを汗だらけに して、何やら着物をほどいてゐる。今日は自分で 冬物のズボンを洗つたり、オーバーを日に当て たり、ワイシヤツをアイロンをかけたりして 一日終へる。 娘…

6月5日(火)

田中氏お祭りの二日よいか代務をたのみに来たので 中央に残る。砂利も少なく大体よい代務であつた。 だがもう夏だ。十六時間中に出す汗の量は どれ位であらうか 真夏になれば まだ〱こんなものではない。 体が機械の一部分となつてうごきまわらねば ならない…

6月4日(月)

H氏と一所。彼氏もこのごろ大部気をつけて ゐるらしく、フンドウもなげない。 東風のため非常な暑さだつた。 交代前一時間は大分やられたがまだフラ〱 とまでは行かない 少し体力がついたのかも 知れない 朝田神社のお祭り、ポン前だけで定時。 クラブによつ…

6月3日(日)

シヤフトみがきで居残る 久しぶりに英明さん達来る。子供達も大きくなつた。 年が若いのに女の子とはいえもう一年生、停年といふ 事を考へると、俺とは、子供が十才もちがふ事になる 子供に経済的フタンをかけぬ様、今から準備しなければ ならないとつね〲思…

6月2日(土)

四号ポン前スキーム九時まで居残り。井上氏と一局 技を交へる。氏の技は大分開きがある。俺は下手 な者ばかり相手にしてゐるから上手になれないのだ 彼等に負けるとは、俺らしくないと考へる。 もはや六月、来月は七月、いよ〱子供が生れる 先ず無事に生れる…

6月1日(金)

六月要記 かまどの煙突をつくる 事 ごみばこをコンクリート の物を用意する事 うすらさむい天気のせいか ふとんを二枚もかけて 良くねむる 出勤前二時間位、社講を読む それから一時間位、電気を消してねて、お茶をのんで 出勤する。一号中止、二号スタート…